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2021.06.04

寄り道をしたくなる田んぼに(6月の家庭水田)

5月の試行錯誤を経て、もうすぐ6月になろうとする頃に、
ようやく田植えを迎えることができました。

海士町も昔は6月くらいに田植えをしている人が多かったようですが、
気候の変化や台風の影響もあり、今では5月の上旬から中旬にやる人がほとんど。

ただこれもそれぞれの農家さんによって、やはりタイミングは違っていて、
苗をしっかり育ててから、6月に田植えをする方もいらっしゃいます。

田植えの前には最後の代掻きをして、2、3日寝かせて泥が馴染むようにすることで、
苗が浮かずに、田植え後も安定するそうです。

それから事前準備として、田んぼを平らにならすための簡易トンボもつくってみました。
材料があれば、意外とすぐに出来ちゃいますね。電動ドリルとノコギリは、
これまた農の先輩である福井区の福井さんにお借りました(ありがとうございます)。

 

 

5月31日の日曜日に「手植え」で挑戦した田植えには、
7人の高校生と、家庭水田同期の大野さんが助っ人で来てくれました。
(これは米のポーズ!らしいですよ)

 

 

手塩にかけて育てた自分の苗と、師匠の宇野さんから分けていただいた余り苗を、
田んぼの中に投げ込み、竹の棒にくくった簡易ロープで平行を取りながら、
できるだけ等間隔になるように、ゆっくりと苗を植えていきます。

苗は3本程度にする、苗を植えながら生えている雑草を土に押し込んでいくなど、
いくつかのポイントをもとに、声をかけ合いながら進めていきました。

高校生のみんなはとても吸収力が早くて、どんどん上達していきます。
もはや僕の役目はロープを引っ張るくらいのものです(笑)

 

 

そうこうしていたら、田んぼの師匠である宇野さんと宮崎さんが様子を見に来てくれました。
本当にこのお二人の助けがなければ、田植えまでたどりつけなかったと思うと、
こうやって一緒に田んぼを囲んでいることが、なんとも嬉しく、感慨深いです。

宇野さんから「おお、お前が一番働いとらんなあ」と早速ツッコミをもらいつつ、
高校生のみんなが植える様子を見てもらい、アドバイスをしていただきました。

ロープの横から見ると苗が綺麗に並んでいても、縦から見ると結構ずれていて、
できるだけ平行を保てるように、みんなで後半戦のもう一踏ん張りを
少しずつ軌道修正しながら頑張りました。

 

 

今は手で植えるのも珍しく、この場所は休耕田でもあったので、
ふらりと歩いてきたおばあちゃんが、目をまん丸にして、
「一体何事だか」という感じで、驚く姿を目にすることもあります。

そうかと思えば、車やバイクで通りがかった人たちが少し立ち止まって、
「いい体験しとるね〜 頑張ってね」「これは農家の嫁に来れるね」
と声をかけてくれたりします。

そして休憩の時にみんなでアイスを食べていたら、
向かい側の田んぼでは、小さい子どもたちが田植え前の田んぼで遊んでいて、
高校生も顔負けの見事な全身泥だらけ状態になっていました。

そんなところから生まれていく交流なんかもいいものです。

ああ、なんか僕がやりたかったのってこういうことだよなあと、
コメづくりをはじめた時に思い描いていた「ふらっと寄り道したくなる田んぼ」に
少しずつ近づいてきたような気がして、嬉しさをかみしめました。

みんなで稲刈りをして、美味しいコメが食べられる日を心待ちにしながら、
引き続き家庭水田の日々を楽しみ、味わっていきたいと思います。

 






山野 靖暁
Yasuaki Yamano

amatte 編集室 / 海士町在住
1991年生まれ、大阪育ち。京都とノルウェーでの大学生活、東京での会社勤めを経て、2018年に縁あって海士町へ移住。今は教育の仕事に携わりながら、島の暮らしを味わう日々。得意料理はだし巻き卵で、吉田修一さんの書くエッセイが好き。

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