「嗅ぐ文学、動く言葉、感じる読書―自閉症者と小説を読む」
ラルフ・ジェームズ・サヴァリーズ 著 岩坂彰 訳
読書は創作であるか。
最近そのようなことをよく読む気がする。この本にもその点が多い。
本書のP85に「精読(クロース・リーディング)」と呼ぶ読み方に関する記述が出てくる。
意味は〈まるで顕微鏡で覗くかのように。あと何週間、二章ずつ進んだり戻ったり泳ぎ進めよう。〉
本を読むことで、面白い種みたいなものが生まれる。ただ今の自分の中には説明で出来る語句がなくて、そこを何度も読んでしまうことが私にもある。言葉としてはわかるのに、感覚としてはとらえられない。もっとすると、そこに書かれてある意味からは少し離れて、自分の中に想起した感覚とその文章との間を行ったり来たりしながら読書する。
さまざまな人が何かを読んで、はたまた見て聞いて感じたとった感覚が、またほかの誰かを楽しませる。そんな連続した現象を想像する。