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2020.01.15

イカの一夜干しができるまで

新年を迎え、仕事がはじまり、1週間が過ぎた土曜日の朝。

7時ごろに目が覚めたものの、どうも身体が重たい。というよりは、昨晩の宴会のお酒が残っており、頭が少し重い。

このまま、ベットでぬくぬくとしていたいところだが、今日は高校生と朝から漁師さんのところに出かける予定だ。そして、車は昨日の宴会があった店に停めたまま。

ということで、あわてて起き上がり、準備をして家を出てから、車を取りに20分ほど歩く。まだ頭は半分くらい寝ているけれど、こうやってお酒を飲んだ翌日、車を取りに少し歩くのは、身体がしゃきっとして、結構いい。そんな風に思うくらい、田舎暮らしではつい車に乗ってしまうから、東京に住んでいたときより、じつは運動不足なものである。

そして車を拾い、高校生を迎えにいってから、海士町の豊田地区へ。
今日は漁師の山下照夫さんをはじめ、海の駅松島のみなさんに、イカの一夜干しづくりを教わる。

この冬の時期に取れるシマメ(スルメイカ)は、甘みがあって、お刺身はもちろんのこと、一夜干しや、イカ飯にするのもいい。それから鮮度の高いシマメを、肝と醤油に漬け込みどんぶりにした「寒シマメ漬け丼」は、一度食べたら、やみつきになる。

 

今回の一夜干しづくりは、僕も高校生もはじめての経験で、まずはイカをさばくところから、教えていただくことに。

まずはイカの裏側の胴の中心を割るように、包丁を入れていきます。(中にはイカの墨袋があるため、それを割らないように慎重に…)

胴が割れると、こんな感じに。そこから目玉や肝などを取って、一つひとつ丁寧に水洗いをしていきます。綺麗に水洗いができたら、いよいよイカを干していくのですが、そのときに、イカの胴と足の部分に串をさしておくそうです。

朝日に照らされるイカをぼんやり眺めながら、山下さんに串をさす理由をたずねてみたら、「足の部分は引っ付きやすいけんな。こうやってさしておいたら乾燥しやすくなるんよ」と教えてくれました。

それに続くように「これって、どれくらい干すんですか?」と高校生が尋ねる。

山下さんは「まあ一晩かなあ。今日みたいに日光がよう当たる日に干すと、甘みが出るし、それから寒くなると身が締まって、うまいんよ」と教えてくれました。

冬場には朝にイカ釣りから帰ってきて、一夜干しを100から200はつくり、冬のシーズンで2000ほどつくるそうだ。今は乾燥機でつくる一夜干しが全国でも主流のようだが、旨味がつまったこの一夜干しの味を残すために、あえて機械は使わずに、ひと手間をかけることを大切にされている。

そしてお昼前には作業も一段落し、高校生3人を連れて車で帰る途中、ふと小さな看板が目に止まる。

主に金曜日と、土曜日限定で営業されているアヅマ堂のベイクショップ

美味しい匂いに誘われて「車内満場一致」で、よりみちをしていくことに。お店に入ると、今日は全粒粉のベーグル、くるみのあんぱん、そして定番の亀ド(おから豆乳ドーナツ)などが並んでいる。

アヅマ堂の近くには、お豆腐をつくる亀田商店というお店があり、そこのおからを使ったミニドーナツ(1個30円)は、素朴な味わいだけれど、トッピングの「塩きなこ」とともに、ついパクパクと何個もつまんでしまう。

店主の大野祥子さんと雑談をしながら、みんな何を買おうかと迷います。最終的にはみんなで分ける用に亀ドを10個、そしてそれぞれが食べたいパンや、ベーグルを1つずつ買うことにしてお会計。僕はベーグルを1つ買った。

せっかくなので、あんぱん2つと、ベーグルを4つくらい買ってベーグルは家に冷凍してストックしておきたい気もするけれど、そうすると、今日売り切れで買えない人がいるかもしれないし、月に何回かの楽しみとして、アヅマ堂のベーグルを大切に取っておくのがやっぱりいいかもなあ、なんてことをぼんやり思いながら、店を出た。

そして外でみんなでつまんだドーナツは、朝からせっせと身体を動かし、一仕事したあとということもあり、いつもより一層美味しく感じる。やっぱり、土曜の朝も「よりみち」にかぎる。

きっと明日の朝ごはんはベーグルにコーヒーを入れて、おそらく夜には、できがったイカの一夜干しを酒の肴に一杯やる。なんてことを考えていたら、昨日のお酒が残って重かった頭が、少し軽くなってきたような気がする。






山野 靖暁
Yasuaki Yamano

amatte 編集室 / 海士町在住
1991年生まれ、大阪育ち。京都とノルウェーでの大学生活、東京での会社勤めを経て、2018年に縁あって海士町へ移住。今は教育の仕事に携わりながら、島の暮らしを味わう日々。得意料理はだし巻き卵で、吉田修一さんの書くエッセイが好き。

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