ひとまず土を起こし、育てたい種の準備ができたところで、4月に向けて次はどうやら苗床(なえどこ)の準備にとりかかるタイミングのようです。
あらためて解説するまでもないかもしれませんが、種を苗に育てていくための床、それこそが苗床なわけであります。苗半作(なえはんさく)と言われるほど、しっかりと苗を育てることが、イネが健康に育っていくために大切なようです。
とは言え、僕にはその床の全貌がまったく見えていないので、まずは宮崎さんの苗床へと伺ってみることに。
3月下旬とは言え、まだ肌寒い中の作業ですが、このように水を貼った田んぼの一角に土の床をつくり、トンボで水平を取っていく作業をされていました。
そして右端の苗床に置かれているのが、苗箱(なえばこ)です。4月になったら、ここに土と発芽させた種籾を入れていくわけですが、そのときに泥や水が入りすぎて、まいた種が窒息しないように、この段階でしっかりと苗床を水平にしておくことが大事だと、宮崎さんに教えていただきました。
その流れで宮崎さんと話をさせてもらいながら、僕の田んぼはスペースも小さいので、自宅の裏庭のスペースで「プール育苗」というやり方を試してみることにしました。その名の通り、ビニールシートを敷いてプールをつくり、そこに苗箱を入れていくという方法です。
家に帰ってよくよく調べてみると、水を張ったプール状態にすることで病気の原因となる細菌の増殖を抑制できるため、農薬を使わないで病気の発生を抑えるためにプール育苗を取り入れている農家さんも多いということが分かりました。
そんなわけでプール育苗への意欲がぐんぐん高まってきたわけですが、「でも、プールってどうやってつくるん?」という次なる課題が。
ということで家の裏庭へ。幸いにも畑の隣に広いスペースがあったので、草を刈り込み、せっせと土を寄せて、こんな感じに仕上げてゆきます。土を水平にするのが結構大変です。
そして後日、購入しておいた巨大ビニールシートを敷いて、両サイドをブロック塀でがっちりと固めていきます。なんともDIY感を醸し出している作業ですが、これが本当に正解なのか、まったくもって分かりません。
しかし、ここは迷わず行けよ、行けば分かるさ、ということでいざ入水。
「おお〜」と思わず声が漏れ出てしまうほど、これは歓喜の瞬間です。しっかりと水を張ることができました。つまり育苗のためのプールが完成しました。置いてみた苗箱も、いい感じに水平を保っています。
その眺めを味わいながら、小さく歓喜のガッツポーズをしていたら、近所の人が一体何をやっているのだろうか、と突如出現したDIYプールの様子を覗きにやってきました。
そして僕からことの顛末を話して雑談していたら、畑の野菜づくりの話になり「ここは場所が広いからいいねえ。今カボチャの種を水につけてるけど、ここにも植えるか?」と、まさかの種のおすそわけをいただくことに。
これはなんとも幸先のよい苗づくりのスタートになりそうです。