苗を育てるための苗床の準備ができたところで、いよいよ本格的に種まきの準備へ移ります。
4月中旬に種まきをする日から逆算して、まずは種籾を7日間〜10日間ほど水に浸けておきます。このとき水の温度が下がりすぎないように、10度〜12度くらいに保っていくとよいそうです。4月になってもまだ夜や朝方は冷えるので、種を浸けているバケツを部屋の中に取り込んだりしながら、温度調整をします。
そしていよいよ種まきの日が迫ると、水に浸けておいた種籾を30度〜32度くらいのお湯に1日ほど浸けます。種籾から芽を出させることを促進するこの作業のことを「催芽(さいが)」と言うそうです。思わず声に出して読みたくなる、何だかいい語感。
この工程でも温度管理が大切だということが分かったのですが、温度計がない。と困っていたら、我が家のシェアハウスの同居人がTANITAの温度計を貸してくれました。温度が下がりそうになったらお湯を足してみたりして、地道に調整を重ねていきます。お風呂の残り湯なんかを有効活用するといいみたいですよ。
それから一晩経過して種籾を見てみると。こんな感じに。
種の左上にちょこっと白い芽が出ています。これがちょうどいい「ハト胸」という状態で、逆にこれ以上芽が出ると、出過ぎの状態になると、家庭水田の発起人でもある宮崎さんに教えていただきました。
種籾によって、若干芽の出方にバラ付きは出てしまいましたが、ひとまずここまできてホッと一安心です。催芽した種をビニールシートに並べて、日陰で乾かして種まきに備えます。
そうこうしていると、宮崎さんからちょうど種まきをするとお知らせを頂いたので、様子を見に行かせてもらうことにしました。
宮崎さんは、このように小さなポット式の苗箱を用意して、そこに種籾を3つずつほど入ピンセットで入れて、その上に土をかぶせていました。一つひとつ手作業でやっていくのはなかなか大変そうですが、これも苗を丈夫に育てるための工夫だそうです。
その流れで宮崎さんご夫婦とも少し雑談をしながら、種きまでの温度管理にしても、苗箱に入れる土の準備にしても、一つひとつ丁寧にやることが大事だけれど、あまりに神経質になってしまうと、それはそれで疲れるので、いいさじ加減を見つけていくことが大切かもしれない、とそんな話にもなりました。
基本はしっかり、でもときにはうっかり、くらいがコメづくりを楽しんでいく秘訣かもしれません。
そして、宮崎さんの奥さんの美穂さんに「山野さんは、もともと農業に興味があったんですか?」と聞かれて、そういえばうちの母親が昔から有機野菜にこだわっていたりして、なんとなくそんな影響も受けているかもしれないな、とそのときにふと気付きました。
春先の午後の日差しを浴びながらこうやってゆったりと話をする時間も何だかいいな、とすっかり長居をしてしまい、気付いたら仕事に戻らないといけない時間に。仕事と田んぼの両立を上手にやっていきたい今日この頃です。