「その魔球に、まだ名はない」
エレン・クレイジス著
今回読んだのは、エレン・クレイジスの『その魔球に、まだ名はない』です。この本のキーはワクワクです。話は1957年のアメリカ。野球が大好きな10歳の少女ゴードン。リトルリーグのコーチにスカウトされてトライアウトを受ける。見事なピッチングをみせて合格。でも、「ルール違反。女子はリトルリーグに入れない」と言われてしまう。なぜ女子はリトルリーグに入れないのか。その間違いを証明するために調べ始めます。 その最初のきっかけになるのが、図書館のレファレンスだったりします。レファレンスって何かと言うと、自分の今の興味と図書館にあるいろんな本との間を図書館の職員さんが繋げてくれることをいいます。そんなレファレンスのナイスアシストもあったりして、ドンピシャのものを見つけます。たぶんこの時のゴードンはめっちゃワクワクした顔をしていたと思います。
〈すっかり魅せられて、やめられなかった。(p213)〉本文の中で声が出てしまった箇所。私はゴードンと話がしてみたい。前に進むその話を聞きたいです。ゴードンの前進する姿を見て、いろいろな人がゴードンの進む道の後押しをします。そして後押しをしながら、ゴードンのワクワクから、自分のワクワクを思い出したりします。 ゴードンが最後に作るものがあるんです。これがナイスアイディアです。私だったら胸が高まって夜眠れなくなると思います。このゴードンのアイディアを考えた時に、図書館の本の一冊一冊も、その著者のワクワクとアイディアが形になったものなんだなと思ったんです。
世の中には、数にしたら無限の本があって、図書館にはその無限のワクワクが整理されて棚に収まっている。そしてどこかで今日も図書館の収められたワクワクと誰かの興味の種が出会うことがあって、新しい何かが形として出来る。そんな出会いを想像しながら、私もまだ開いたことのない本を手に取りたいなと思います。