記事一覧 特集一覧 amatteとは? 編集室 お問い合わせ
特集 > 普段のワクワク
2022.01.10

私的な島の図書館だより 「言葉を離れる」横尾忠則

横尾忠則さんのエッセイ

『言葉を離れる』

 

この本は広く皆さんにおすすめできません。おすすめは出来ませんが、私は面白く読みました。言葉を離れるというタイトルながら、言葉に対してとても真摯で謙虚で、最初から最後まで大切にしているのが文章から伝わります。

では何故広くおすすめ出来ないのか。それはP193の8行目から約2ページ少々続く映画の話。これがこの本のハイライトです。もし図書館でこの本を見つけたらこの2ページだけ開いてみてほしい。もうすごいです。横尾さん自身が撮りたい映画を頭の中で妄想するというシーンなのですが、???!!!です。

私のイメージで書くとすると、横尾さんが生涯で見た映画をシュレッダーで裁断して、もうその場面の言葉は聞けない、その印象的な場面の色の断片しかわからない。そんなイメージを繋げて映像にする。そんな妄想を文章にした2ページちょっと。

とてもエキサイティングで体温が上気している熱がこちらにも伝わってくるようです。理解しようというのではなくて、パワフルな創造の熱気を感じたい。そんな読書を求めている人には合うかもしれません。

全体を俯瞰して思うのは、やはり言葉です。言葉は何かを理解するのにとても便利です。言葉になっていないものは、理解しているのか怪しくなってくるほどです。けれど、言葉になった瞬間に見えていた周辺の映像が抜け落ちて、理解がシンプルになってしまうということもよく経験することだと思います。意外と核心の部分よりも周辺の抜け落ちた部分が大事だったということもありそうです。

言葉と言葉を離れたもの。この本ではそれを「アンファンテリスム(子供っぽさみたいな意味)」という語で繰り返し語っています。それは、本当に面白いことは本能が知っているということかもしれません。

ただそれは対象をよく見つめ、とらえたいという願いからきているのかなと。これは想像です。

 






小室 勇樹
Yuki Omuro

amatte 編集室 / 海士町在住
1984年生まれ、隠岐の島町(旧西郷町)育ち。高校卒業まで隠岐で生活。水産高校で柔道部、農業大学で探検部。図書館とか銭湯、公園みたいなのんびりできる場所が好き。2009年海士町にJターン。2011年より社会福祉法人だんだん さくらの家にて特産品「ふくぎ茶」製造に関わる。

この人の書いた記事をみる



カテゴリー別に一覧をみる
キーワード別に一覧をみる
##amatte##イベント##コミュニティ##企画##編集会議#DIY#あじさい#うっかり#おいしい#おすそわけ#おばあちゃん#お雑煮#ご近所さん#そば#ふるさと納税#まき#みかん#イカ#インタビュー#オープンアイランド#クリエイティブ#シイの実#ジオ#マルシェ#世間話##休日#体験談##商店#図書館#地球#多拠点暮らし#大人の島留学#大地#寄り道#島のワイン#島前高校#島留学#崎みかん#成長#手仕事#手作り#暮らし#####梅しごと#歴史#漁師#産業##移住##節句#自然##観光#観察#農業#通勤#隠岐ユネスコ世界ジオパーク#風景#


2022.02.17
私的な島の図書館だより 「嗅ぐ文学、動く言葉、感じる読書」ラルフ・ジェームズ・サヴァリーズ
「嗅ぐ文学、動く言葉、感じる読書―自閉症者と小説を読む」 ラルフ・ジェームズ・サヴァリーズ 著 岩坂彰 訳 &..
2022.01.10
私的な島の図書館だより 「言葉を離れる」横尾忠則
横尾忠則さんのエッセイ 『言葉を離れる』   この本は広く皆さんにおすすめできません。おすすめは出来..
2021.12.20
私的な島の図書館だより 「その魔球に、まだ名はない」エレン・クレイジス
「その魔球に、まだ名はない」 エレン・クレイジス著       今回読んだのは、..
編集室
お問い合わせ